月末が近づくと、また学級通信(学校によっては「学年だより」とも呼ばれます)の締め切りが来る。書くこと自体は決まっているのに、毎回同じような書き出し、同じような結びになってしまう。そんな「ネタ切れ」に悩んだことがある先生は多いはずです。

学級通信のネタ集はインターネット上にたくさんありますが、その多くは「行事の記録」「生活指導の呼びかけ」といった項目を並べただけのものです。この記事では、そうした汎用のネタ集ではなく、AIを使って年間行事に合わせた文面を実際に組み立てる手順を紹介します。

なぜ学級通信はネタ切れしやすいのか

学級通信は週1回〜月1回のペースで、年間を通じて発行し続ける文書です。1年に十数号から数十号を書くことになるため、扱う話題が一巡すると「先月とほぼ同じ内容」になりがちです。

さらに、通知表所見や保護者向けの個別文書と違って、学級通信は「特定の誰か」ではなく「クラス全体」に向けた文章です。的を絞りにくい分、書き出しに迷う時間が長くなります。行事がある月はまだ書きやすいのですが、行事の少ない月ほど「今月は何を書けばいいのか」という悩みが深くなります。

AI×学級通信の基本的な使い方

学級通信づくりでAIにできることは、通知表所見や保護者向け文書と同じく「たたき台を作ること」です。AIはクラスの様子を実際に見ているわけではないので、行事名や日付、クラスの雰囲気といった事実は教員が渡す必要があります。渡した事実をもとに、読みやすい構成と文章表現に整えてもらう、という役割分担で使ってください。

その際に注意したいのが、個人情報の扱いです。学級通信はクラス全体に向けた文書なので、通知表所見ほど個人情報の密度は高くありませんが、「〇〇さんが委員長として活躍した」のように特定の生徒名を出したいエピソードは少なくありません。氏名を含めたい場合も、プロンプトを送る段階では「係の生徒」「学級委員」のように役割名に置き換え、生成後の文章に自分の手で氏名を書き加えるようにしましょう。文部科学省の生成AIガイドラインVer.2.0でも、個人情報の入力は避けるべきとされています。詳しくは文科省ガイドラインVer.2.0の解説記事を参照してください。

学級通信の下書きを頼む前に、生徒名を役割名に置き換えてプロンプトを準備する様子

年間行事×プロンプトのテンプレ集

学級通信の内容は、月によって書きやすさが大きく変わります。行事が多い月は「何を書くか」より「どう読みやすくまとめるか」が課題になり、行事の少ない月は「そもそも何を書くか」から悩むことになります。ここでは代表的な5つの場面ごとに、プロンプトのテンプレートを紹介します。【 】は実際の状況に合わせて書き換えてください。

パターン1:新学期号(4月・9月)

始業式や学期はじめは、クラスの目標や新しい生活への期待を伝える号になります。

学級通信の新学期号の下書きを作ってください。

内容:
・新学期の始まりにあたっての挨拶
・このクラスで大事にしたいこと:【例「一人ひとりが安心して発言できる雰囲気」など】
・今学期の主な行事予定:【箇条書きで2〜3件】

保護者にも生徒本人にも読まれることを想定し、前向きで温かい「です・ます」調で400字程度にまとめてください。

注意点:目標や大事にしたいことは学級経営の方針そのものです。AIが提案した表現が、実際に自分が目指している方向と一致しているか確認してから使ってください。

パターン2:行事レポート号(運動会・文化祭・修学旅行など)

行事のあとは、その日の様子を伝える号を作りやすい一方、単調な「実況報告」になりがちです。

学級通信の行事レポートの下書きを作ってください。

行事名:【例「体育祭」】
当日の様子:
・【印象的だった場面①:例「クラス全員で声を合わせた応援合戦」など】
・【印象的だった場面②:例「係の生徒たちが準備から片付けまで動いていた」など】
・全体を通しての雰囲気:【例「学年が上がって団結力が増した」など】

出来事を時系列で並べるのではなく、クラスとしての成長が伝わる構成で400字程度にまとめてください。

注意点:「クラス全員が団結した」のような全体評価は、実際にそう見えたかを自分の目で確認してから使ってください。行事の記録は保護者の記憶にも残りやすいため、事実と異なる誇張は避けましょう。

パターン3:学期末号(テスト前後・生活面の振り返り)

テスト前の呼びかけや学期の振り返りは、生活指導の意図を含む号になります。

学級通信の学期末号の下書きを作ってください。

内容:
・今学期のクラス全体の振り返り:【例「行事を通して協力する場面が増えた」など】
・定期テストに向けての呼びかけ:【例「計画的な学習習慣を身につけてほしい」など】
・保護者への協力依頼:【例「家庭学習の時間確保への声かけ」など】

説教くさくならないよう、前向きな言葉を中心に350字程度でまとめてください。

注意点:「クラス全体の振り返り」は、一部の生徒だけに当てはまる内容を全体像として書いてしまわないよう注意してください。

パターン4:長期休み前号(夏休み・冬休み前)

長期休み前は、生活面の注意事項と楽しい話題を両立させる必要があります。

学級通信の長期休み前号の下書きを作ってください。

内容:
・休み前の生活面の注意事項:【例「規則正しい生活リズムを保つこと」など】
・休み中の課題について:【簡潔に】
・休み明けに向けての一言:【例「充実した休みを過ごして、また元気に会いましょう」など】

注意事項が堅苦しくなりすぎないよう、明るい調子を保ちながら350字程度でまとめてください。

注意点:課題の提出期限や持ち物などの実務情報は、AIが生成した文章に誤りがないか必ず自分で照合してください。

パターン5:学年末・卒業号

1年間の締めくくりとなる号は、感謝と次の学年への引き継ぎを伝える内容になります。

学級通信の学年末号の下書きを作ってください。

内容:
・1年間を振り返っての感謝の言葉
・クラスとして成長したと感じる点:【例「行事のたびに協力する姿が見られた」など】
・次の学年に向けての一言

保護者への感謝も含めて、丁寧で温かい「です・ます」調で400字程度にまとめてください。

注意点:1年間の締めくくりの号は特に読まれる号です。生成された文章が、自分が実際に感じてきたクラスの姿と重なっているか、時間をかけて確認してから使ってください。

ネタが本当にない月のための汎用プロンプト

大きな行事がない月は、日常のささいな出来事を切り口にすると書きやすくなります。

学級通信のミニコラムの下書きを作ってください。

最近クラスで見られた小さな出来事:
・【例「給食当番の交代がスムーズになってきた」「掃除の時間に自主的に動く生徒が増えた」など】

この出来事から、クラス全体の成長が伝わる短いコラムを、200字程度で書いてください。

大きな行事がなくても、日常の変化を拾い上げれば1本のコラムになります。この視点を持っておくと、ネタ切れの不安がかなり軽くなります。

仕上げのチェックポイント

AIが返した下書きは、発行する前に次の3点を確認してください。

  • 事実確認:行事名・日付・人数などの具体的な情報が、実際の状況と一致しているか
  • 個人情報の再確認:役割名で渡した部分に、氏名を書き加える必要がある箇所を忘れていないか
  • トーンの統一:号によって文体がバラバラにならないよう、「です・ます」調など普段使っている書き方に揃えているか

この3点を確認してから、学年主任や管理職への確認・共有に進むと安全です。

まとめ:AIは「今月の切り口」を見つける手助けをしてくれる

学級通信のネタ切れは、話題そのものが尽きるというより「どの角度から書けばいいか」が見えなくなることで起きます。年間行事に合わせたテンプレートを持っておけば、行事のある月は要素を当てはめるだけで骨格ができ、行事の少ない月も日常の小さな変化を切り口にできます。

まずは来月号のテンプレートを1つ選んで、実際の状況を当てはめてみてください。書き出しに悩む時間が、確実に短くなります。

こうした「AIが下書きを作り、事実確認とトーン調整は教員が行う」という進め方は、通知表所見のプロンプト集定期テスト作成のプロンプト集でも共通しています。学級通信で慣れたプロンプトの組み立て方は、そのまま他の校務文書にも応用できます。